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重慶大厦

先月末、香港に行った。
街を歩き回っていた4日間だった。

思ったよりも英語の通じない広東語の世界で、でも朝の出勤時間の人の流れに溶け込めたような気になれたのはたぶんアジアの国だからで、それは楽しい感覚だった。
行ってみたいと思っていた重慶大厦(チョンキンマンション)は、カレーが妙に美味しいとの評判とともに、やはりカーワイの映画の世界の片りんを確かめたかったから。
初めての場所の何が真実の姿かは短い時間で知る由はなく、カーワイが描いた香港こそが私にとっての香港なら、この自分のイメージとリアルを重ねて検証してみたかった。

行ってみると地図のとおり建物はほんとうに繁華街の中心にあって、ここが本当にあの重慶大厦なのか信じられない。
ともかくときらびやかな入口から入ってみると、女子向けの化粧品やこぎれいな食堂のある一角にしか行けず、あの「巣窟」感はまったくない。
何か間違っているのか??
入ったところからいったん出ると、隣に別の小汚い入口があった。
こちらはインドとかパキスタンっぽい男たちがたむろっていて、入ろうとしたとたんに彼らが声を掛けてきて、あっという間に4~5枚のカレー屋のチラシを押し付けられた。
わぉ、ここが重慶大厦!と内心わくわくしながら奥に進んでゆくと、両替商がいくつも並んだ奥には携帯電話屋やハラルフードの総菜屋が並んでいて、左側にはA・B・C・Dとエレベーターが点在してる。
各2機づつのエレベータは奇数回どまりと偶数回どまりに分かれていて、もらったカレー屋のチラシとエレベータの前の表示を照らして見ると、どうもABCDのエレベータの区画は水平移動が出来ないようだった。

いくつもカレー屋があることはチラシの数で判ったので、さて、どこに行ってみるか。
まずは3階(イギリス式なので日本だと4階)にある店に行ってみる。
エレベータが開くとすぐにカレー屋から人が出てきて、寄ってゆけと言うものの、また来るね、と別も見にゆく。
いったんグランドフロアに降りて、別の区画のエレベータで上がり直して、3軒目のカレー屋がなんとなく良さそうで扉を押してみた。
綺麗な店内は、まるで東京の青山あたりのスパイス料理屋の雰囲気で、お客が誰もいないせいもあり広々としている。
結果的に、料理は非常に美味しくて、値段も東京よりずっと安価で、店主ともゆっくりおしゃべりできて、大正解の食事になった。
スパイスたっぷりのライスは多くて食べきれなかったので持ち帰りにしてもらった。
翌朝、食べてもやはり美味しかったので、やはりあれは美味しい料理だったのだろう。
モハメットさんは18年だか前に香港に来てここを経営しているとのことで、長くこの味を出せるのは凄いことだ。

食事の帰りはエレベータを待たずに店の隣に見つけた階段を下りた。
汚いとか不衛生とか、まあそういう場所だけれど、なにか画になる強い雰囲気があって、ここから物語が生まれる、カーワイがこの建物のどこかで映画を撮影したことがほんとうに良く判った。
もちろんカーワイやドリルは才能のあるクリエイターだけど、彼らを触発する重慶大厦なり街の力はたぶん30年前はもっと鮮烈だったのだろう。
個人的趣味としては、そういう鮮烈さにひりひりしながら生きていたいと思う。
それは、帰りの飛行機で見たドキュメンタリで、ニューヨークのファッショナブルなホームレス、マーク・レイが言っていたのと同じことなのだろう。

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