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木村凌二「多神教と一神教」岩波新書967

木村のローマの本は読んだことがあるが、これはタイトルに惹かれて読んで存外の収穫をもたらしてくれた。

ジェインズ(「神々の沈黙」)のバイカメラル・マインドを、木村はたぶん正しいと感じていて、そのうえでそのなぞ解きをしている(!)。
木村は、神々が我々の内から失われたのは、前1000年ごろの生活環境の過酷さが内なる神の声を聴く精神的余裕を奪い至高の唯一神への懇願へとシフトしたからではないか、そしてそれが成ったのは、同時期のアルファベット=書き言葉の発明が人々の精神構造に絶対的な変化をもたらしていたからではないか、と言う。
これは大変に興味深い説だと思う。
もちろん、詳細には検証できていなくて、あくまで仮説であるという前提で慎重に記載されているのだけれど、書き言葉の獲得による人間の精神構造の変容、これはたいへん説得力があるのではないだろうか。
我々の脳構造としては神の声をナチュラルに聴くことが可能であること、新たなリテラシの獲得によって精神活動が根本的な変容を受けること。
面白い。
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本書では、旧約の唯一神の源泉はエジプトの太陽神(アテンなりラーなり)の記憶ではないか、とも記している(99ページ)。
出エジプトの前の記憶。
面白い。

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コメント

おひさしぶりです。
社会の階級化がおこり神官階級の登場で一神教が都合が良くなったのでは?

投稿: 叡 | 2018.01.31 13:47

暦の上では春になってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

ローマがキリスト教を公認したのは、一神教は王権神授のストーリーを作りやすいからだと、本書にも書いてありましたが、たしかに、特定の階級なりで神事を独占して権威を維持するのには一神教が便利だと思います。
前1000年ごろのカナン地方は、群立する部族集団による絶え間ない戦乱と気候も激変のころで、のどかな多神教の環境ではなかったということらしいですが、とすると職業軍人的な人もいたでしょうし、社会階層化もこのころ劇的に進だのかもしれません。
具体的な資料は見つけられなったのですが。

投稿: akiko | 2018.02.03 11:50

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