« The bank job | トップページ | 個の時代 »

ザ シェイプ オブ ウォーター

R15+。ぼかしが1か所、それのないアメリカ公開版はR18+レベルらしい。よくわからない基準だ。

だがとにかく、これは結構大人の映画だ。
恋愛映画と思って軽い気持ちで見に行くと、思いがけずバッサリやられる。
オープニング。主人公の女性の夢の中なのだろうか、漂う家具、漂う彼女。
もうそこからどっぷりと物語の淵に落ちいる。
物語の世界に浸って、するすると滑るように目の当たりにする彼女の日常。
距離感を保ちつつ、つまり個人としての節度を保ちつつ、観客は彼女の内面を深く知る。
科学研究所の清掃の仕事をしているイライザは、アマゾンから連れてこられた半魚人と恋に落ち、命がけで彼を助ける。
イライザの深く強靭な内面。半魚人の存在、彼らの恋・・・これらが驚くべき説得力をもって描かれてゆく。
一つ一つのセリフが詩のようであり、かつ、力強い。
各々の登場人物がその瞬間まで生きてきた、その生命力が言葉になって具現化している。
そうかな、とは思ったけれど、ゲーリー・ウエストファルによれば、出てくる名言の類は監督の自作らしい。レーニンが「死んだ魚は価値がない」とか言ったというセリフが出てくるけど、レーニンはそんなこと言ってないらしい。いろいろいろいろ、権利関係やらそういう点もあるのだろうけど、もう徹底的に物語を語ってやる、という映画になっている。
物語は1962年が舞台。この時代背景が分からないと理解できない部分があるだろう。
最後の古き良きアメリカ。半魚人映画が流行って、たぶんそれは原爆とかの恐怖が影響していて、人種差別があって、キューバ危機があって。
国家や社会やらのフィクションに頼って生きている登場人物達は、おのおの複雑で悲劇的な最後になる。
ここから何を導くことができるのか、そういうことはさておきの、生きること、物語ることの力を感じさせる映画。

|

« The bank job | トップページ | 個の時代 »

コメント

先週、見てきました。
キューバ危機で、アメリカが海上封鎖して・・
という時期を物語の舞台にしているのが、あやしげで不穏で不安感をあおって、という気分をよく出しています。

わたしの拙い感想です。
http://mixi.jp/home.pl?from=g_navi#!/diary/5348548/1965551071

投稿: ごんふく | 2018.03.12 09:20

ごんふくさん、こんにちは!
お変わりありませんか。

そうなんですよ、そういう「気分」がとってもよく伝わってくる、なんかふしぎな映画でしたよね。
ビジネスではなくて映画が好き、でないと作れない映画かなあ、なんて。
リンク張ってくださってありがとうございます。
そうそう、って思いながら拝読しました。

投稿: akiko | 2018.03.13 05:51

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/11466/66486405

この記事へのトラックバック一覧です: ザ シェイプ オブ ウォーター:

« The bank job | トップページ | 個の時代 »