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ヘッダ・ガブラー

イプセンの作(英語)をシス・カンパニーが寺島しのぶのヘッダで。初日。
定評のある役者と演出家のオーソドックスな舞台。じっくり味わう楽しさ。
ただ、演出の意図はつかみかねた。
なぜヘッダは死んだのか。
彼女の死が直前のブラック判事の脅迫による突発的なもののように見えてしまって、それまでの、ヘッダのキャラクタの描写と有機的に結びつかない。
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若くて美しい女性の魅力というのは、彼女がまるで永遠に変わらないような硬質さを呈していることにある。
彼女の自分に訪れる変化を認識しない強さは愚かさゆえでもあり、その愚かな彼女が真実を受容する過程が普遍性を伴うならば、それは演劇的で描くに足りるテーマとなる。
しかし、舞台の上で起きる構造転換が、たんなる不安定な精神の発露で必然性を欠くものならば、それは彼女だけの問題で観客は理解することができない。
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本作では段田安則演じる判事が主役だった。
最後のセリフ God, people don't do such things. が判事のものでシナリオ上も判事を主役に持ってくることは可能であるし、それと、くわえて幕間に私のうしろの観客が「この芝居は段田さんが7役演じ分けてできるわね」とこっそりおしゃべりしてたのも頷けることだった。観客は段田演じるブラック判事を理解することができた。
判事はヘッダの死で跳躍していた。彼は彼のゲージから脱出した。
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というのが初日の感覚だったけれど、芝居は生き物なので回数を経ることで変化してゆくわけで、主役が変化する予感もある。
シンプルにヘッダが主役となるバージョンを夢想してみるのは楽しい。
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70歳近いイプセンは神を信じていたのだと感じる。

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