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ローリー・スチュワート「戦禍のアフガニスタンを犬と歩く」

UKの刑務所の自殺率の激増が問題になっている。
刑務所担当法務大臣(というのか?)が、その原因である麻薬と暴力の監獄環境を改善できなければ辞任する、としゃべっていて、彼の顔つきというか歯並びの悪さが印象的で、ググってみたらこんな本を書いていた。
もうさ、UKはすごいよ。
こんな心身タフな男がいて、45歳ぐらいで大臣やってる。
この本は、2002年にアフガニスタンを歩いて横断したという体験談としてももちろん興味深いのだが、彼のマインドが強く心に突き刺さってくる。
29歳のスチュワートはアジア(イラン・パキスタン・インド・ネパール)を踏破したあと、タリバン崩壊の報に接して、自己の旅の間隙を埋めるべくアフガニスタンのヘラート・カブール間の、直線距離600キロぐらいの制覇に挑む。
格別の理由はなく、単に自分で決めて歩きとおす、そういう移動の過程だ。
たまさか旅程の半分ぐらいのところで大型犬を、なかば地元民に押し付けられるように連れて行くことになり、後半は犬と歩くことになる。
スチュワートも犬も、飼いならされていない性質が共鳴する部分もあるにしても、とにかく生命をつなぐために歩いて行く。
途中、何度も車に乗る機会があるのに、乗らない。
赤痢や極寒や餓えや暴力が、なんども彼らを死の淵に立たせるのに、歩いて進んで行く。
いやほんと、ある種の狂気というか馬鹿というか、ありえないよ、彼のマインドは。
しかも、それらを記述する筆は淡々としていて、おいおいここでは死にそうになっているのにこんなにさらりと書くだけでいいのか、と思わず読み返してしまう。
チャンネル4のインタビューで、アンカーパーソンが改善するにしても予算が圧倒的に少ないのでは、また、刑務所の環境だけを変えようとしても問題解決にならないのでは、と言っているのに対して、正しい対応を社会全体で進めて行くというような抽象的な答えをしているのだけど、しかし、彼には「逃げている」感はなくて、しぶとさというか、とにかく前に進むしかないというのはこの短いインテビューでも理解できる。
この人は注視してゆこうと思う。

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