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2019年5月

ギンズバーグのドキュメンタリ映画「RBG」、「ナチスから図書館を守った人たち」

全ての人は全ての時を自己の合理化のために意欲する。もちろん私自身もそう。
より良き合理化を求めて腐心する。

先日、アメリカ最高裁判事ギンズバーグのドキュメンタリ映画「RBG」を見た。
映画の公式サイトはこちら、ギンズバーグについては、こことかの記述が判りやすい。
映画を観ての、とくに得られた新しい情報はなし。映画を撮影した時点では、判事を辞める気はないのだな、という点の確認ぐらい。
先にたまたま「マックイーン」という、同様に個人を描いたドキュメンタリをみていたので、同じ手法の映画作品として今回のはダメだなと感じられた。
まったく人そのものが描けていなくて、ギンズバーグという老女自身の姿は見えない。単に、みんながアイコンにしている彼女を紹介しているだけだ。いや、それが普通なんだけど、マックイーンが奇跡の1作だったというだけなんだけど。
劇場はそこそこ人が入ってて、模索している感の年寄がたくさん来ていた。

 

合理化するのもそれを模索するのも、いいんじゃない、だって我々は人間であって神ではないのだから。
でも、自分の手持ちの札だけでの合理化をしようとするという頭の悪さ、もしくは卑しさを私は憎んでいる。
ここは我々は人間であって動物ではないのだと、私は思いたいから、というだけのことだけど。
本当に合理化したいなら、新しいカードを手に入れないとだめだろうに。

ナチスから図書館を守った人たちはリトアニアのユダヤ人図書館の本を守った人たちについての調査結果。
近時、資料が見つかり、調査され、その調査を担当したユダヤ人神学校の歴史教師フィッシュマンが著者。
なぜ宗教というか文化というか、連綿と続いてきた精神性を守ろうとするのか、死の恐怖、飢餓の苦しみのなか、なぜ、という点が理解できる。一般的なナチのユダヤ人迫害ではないひとつ特殊な部分の話であって、圧倒的な虐殺という悲劇性で覆われると逆に見えてこない真実を知ることができる。貴重で素晴らしい調査内容だ。

   

 

映画「マックイーン」

2010年、40歳で自殺したファッションデザイナー、リー・アレキサンダー・マックイーンの生涯。

過去のフィルムや、周辺の人へのインタビュで彼をつづる。
映画が終了して、劇場の空気が異様だった。
これほど深い感動をたたえた空間は初めてだった。
たしかに、本人の自殺というエンディングは笑って席を立つというわけにはゆかない。
にしても、ほぼ号泣で立ち上がれない状況の人すらいた。
人の死という悲劇を超えた、生命の尊さがこの映画では観客の心を突き動かしていた。


もしかすると、イギリスの観客よりわれわれは強い衝撃を受けたのかもしれない。

マックイーンの洋服、代表的なものは?と言われても、じつはよくわかっていない。
ガリアーノとあんまり区別がつかなかったりした。ごめんね、マックイーン。
たしかに、ケイトモスのホログラムは、とても印象的だったが。

映画では、オンタイムで見たよりも、物語をもってずっと素敵に洋服を映してゆく。
服を着ることと、見せること、それもショーで見せることは全く違うことなのだとまざまざと感じる。
映画のブックレットを読んでわかったのは、やっぱり当初は関係者へのインタビューは難航したらしい。
制作者サイドとの信頼関係ができて行って、だから話を聞くことができて、この映画になった、それが観客の心を動かした。
イギリスの人は辛口になれていて、言語表現にいかに力があるか、技術が必要か、を理解している人が多い、
そういう人たちが、心を込めて話をすれば、日本人などはあっけなく感動する。
ぞれはもちろん美しいことだけどね。

現代のイギリス人にとって自殺というのはどいう感覚なのだろうか。
日本では比較的美化されてきた歴史があるけど、イギリスでは近代まで自殺は犯罪で、自殺した人の財産は没収されていたんだよね。
そういう社会背景は今どうなっているのだろう。
ゲイもイギリスでは戦後まで犯罪だったから、日本とはその存在がいまでも全く違うのだろうと思う。
その辺の感覚は、ほとんど全くわからない。
ただ、映画を観ると、彼の自殺は言葉では説明できないけれどわかる、という気持ちになる。
私たちがどんなにマックイーンを愛したとしても、彼は孤独のうちに死んだのだと思うと、その非情さがつらい。

音楽が良かった。
マイケル・ナイマンだけど、映画「英国式庭園殺人事件」で自分で作った曲を使っていたのは、マックイーンがThe UKということなんだろう。(この曲は、ペットショップボーイズ「 Love is a Bourgeois Construct」で初めて知った。映画「英国式庭園殺人事件」も本当に好きな映画だ)

   

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